彦根歴史研究の部屋

彦根や井伊家の歴史について、これまで発表してきた私見の紹介・補足説明・修正など。

『朝鮮通信使と彦根』を刊行しました

このたび、サンライズ出版から、別冊淡海文庫として『朝鮮通信使彦根 記録に残る井伊家のおもてなし』を刊行しました。

是非ともお手にとってご覧ください。

 

購入方法、内容紹介はこちらから
www.sunrise-pub.co.jp

 

f:id:hikonehistory:20190412172450j:plain
f:id:hikonehistory:20190412172506j:plain



まずは、執筆の視点を紹介します。

朝鮮通信使については、2017年にユネスコ「世界の記憶」に「朝鮮通信使に関する記録」333点が選定されたが、これはゆかりの各地で通信使の歴史を掘り起こそうとする熱意のもと、資料調査や研究が進められた成果といえる。

彦根でも、通信使が朝鮮人街道を通行し、彦根城下の宗安寺で宿泊した歴史は知られているが、他のゆかりの地にくらべて、これまで交流の実態を示す史実の掘り起こしは進んでいるとはいえない。

そこで、彦根藩の歴史を研究してきた立場から、
 ①朝鮮人街道の成立と管理
 ②彦根藩による通信使のもてなし

の2点で彦根と通信使の関係を探ってみたのが本書である。

 

通信使に関する記録は、使節が書き残した道中記録が知られているが、地元でも通信使から受け取った手紙や実務担当者が作成した文書などの新出史料が確認できた。これらを駆使して新事実を明らかにし、彦根における朝鮮通信使の独自性と重要性を示した。

 

みどころの1つは、サブタイトルにもあるとおり、彦根に宿泊した通信使への”おもてなし”である。他にない彦根独自の心をこめたもてなしの実態を示す。このほか、朝鮮人街道の歴史についても新視点を示すことができた。

朝鮮通信使という切り口で、江戸時代彦根の歴史的特質を明らかにした書籍といえる。